石山寺は747年、瀬田川の西に建てられた西国巡礼十三番札所で、紫式部が源氏物語を書いたお寺です。奈良時代に聖徳太子の念が入った金銅如意輪観音像音を祀ったのが始まりとされ、清水寺や長谷寺と並ぶ日本でも有数の観音霊場です。
メインの東大門の山門は大きく、重要文化財に指定されています。桜や紅葉、霧島つつじなどが植えられた真っ直ぐに伸びる参道の途中には大黒天堂や拾翠園などたくさんの見所をゆっくりと見て回れます。料金所を越えると杉の大木が。急傾斜の階段があるのでゆっくりと登ってください。
階段を上りきると、敷地約10万平方mにおよぶ広大な境内が広がります。重要文化財である蓮如堂や兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)を本尊とする毘沙門堂、正面の奇山の上には日本三大多宝塔のひとつである多宝塔がそびえ、国宝に指定されている本堂は、滋賀県最古の木像建造物として知られています。
数多くの重要文化財・国宝を持つ歴史的文化遺産に富んだ石山寺は、春の梅・桜、秋は紅葉と、人々が絶え間なく訪れます。奈良時代・平安時代の昔より庶民から貴族まで参拝に訪れた石山寺へは、おごと温泉からお車で約40分。びわ湖の景色を眺めながら、ドライブなどいかがでしょうか。
石山寺は、石山寺硅灰石(いしやまでらけいかいせき)という巨大な岩盤の上に建っています。こちらも近年パワースポットとしてかなり有名になりました。
石灰岩がマグマによる熱で変化した、硅灰石が露出しているのですが、石山寺のように大きな 硅灰石となっているのは大変珍しく、国の天然記念物に指定されています。
この硅灰石は表面の苔で灰色に見えていますが、本来は白亜の輝きを放つ大理石で、この他にも大理石からなる「くぐり岩」や6~8世紀とも言われる「石切り場」も残っています。
石山寺は奈良・平安時代より春も秋も大人気のお寺です。
学校で古文や古典を勉強する時には「石山詣で」などという言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。紫式部も石山寺参籠の折に物語を書き始めたそうです。それだけではなく、石山寺は蜻蛉日記や更級日記、枕草子など、数多くの文学作品に登場し、その地場は昔から人々に印象深く愛されていたことがわかります。
境内には、庭木風に手入れされた「薫(におい)の苑」、高低差が活かされた「東風(こち)の苑」、梅の自然な姿が楽しめる「第3梅園」という3つの梅園があり、「白滝」「藤牡丹」といった紅梅、白梅をはじめ寒紅梅、長束など40種400本の梅の様々な姿が楽しめます。3月中旬には、第3梅園周辺で梅と、早咲きの桜と、黄色い水仙との共演が話題になりました。
また、日航機墜落で亡くした犠牲者520人分の桜が咲き誇る姿も、圧巻であり、儚くもあり、幽玄な景色を堪能していただけます。続いて5月には丹精込めて植えられた牡丹の花も咲くそうです。
紅葉の美しい時期には、ライトアップと夜間特別拝観が行われます。石山寺の紅葉は葉の大きさが一回り小さいヤマモミジが主流です。期間中は狂言が奉納されるなど、秋深い文化を堪能していただけます。
石山寺は瀬田川の西岸にありますが、この瀬田川は琵琶湖より唯一流れている川で、京都府に入って「宇治川」と名を変え、大阪府では「淀川」となって大阪湾へと注いでいきます。瀬田川周辺には数々のお寺や神社があり、「近江八景」にも描かれています。お時間があればぜひ、瀬田川リバークルーズや、ラフティングをお楽しみください。
瀬田川には瀬田シジミの貝殻を中心とする日本最大級の淡水貝塚である石山貝塚が広がっています。貝塚とは、縄文時代に食事にされたと思われる貝殻が堆積したものを言います。石山貝塚は今から7000~8000年前の縄文時代前期に作られたもので、堆積された貝殻は7層に分かれています。各層からは押型文土器を始め、人骨、磨製石器、角斧など特色がある遺品が出土したそうです。
石山寺から岩間寺まで5.1キロ。岩間寺は松尾芭蕉が「古池や蛙飛び込む水の音」という有名な俳句を読んだことで有名です。御本尊は千手観音で秘仏とされ、通称汗かき観音と呼ばれるそうです。また、ぼけ封じの観音として知られ毎月17日に祈願法要が行われています。